植物の三代栄養素を見出し、化学肥料を世に送り出した、農芸化学の父と呼ばれる、ドイツの化学者、ユストゥス・フォン・リービッヒは、日本古来の農業生産システムに驚愕したと言われています。

完全なる持続可能な農業

我が国古来の農業生産システムは、人間の排泄物をも利用した養分循環が成立しており、江戸時代には、し尿が商品化され、人口が集中する都会から、郊外の農村地区へ還元されていく流通経路もあったとされます。
この日本古来の農業生産システムは、植物の「無機栄養説」を確立したリービッヒを驚かせ、彼の著書「化学の農業及び生理学への応用」に、こう記しています。

「日本の農業の基本は、土壌から収穫に持ち出した全植物養分(排泄物を回収し、里山から落ち葉を集め不足した養分)を完全に償還することにある…」

「土地の収穫物は地力の利子なのであって、この利子を引き出す資本に手をつけることは決してない」

地力の利子とは、自然界からの恩恵である収穫物のみを利用し、資本である土壌は痛めないと言っています。

見習うべきは、諸外国ではなく、古来の我が国にあり、江戸時代の日本は、理想の農業先進国だったと言えます。